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映画『サラの鍵』を観ました♪ [映画]

また一つ、心に残る物語に出逢いました。
それはこの作品。

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予告編もどうぞ[手(パー)]



ざっとあらすじ・・・
『サラの鍵』 2010年フランス制作

夫と娘とパリで暮らすアメリカ人女性記者ジュリア(クリスティン・スコット・トーマス)は、45歳で待望の妊娠をはたす。
が、報告した夫から返って来たのは、思いもよらぬ反対だった。
そんな人生の岐路に立った彼女は、ある取材で衝撃的な事実に出会う。
夫の祖父母から譲り受けて住んでいるアパートは、かつて1942年のパリのユダヤ人迫害事件で、アウシュビッツに送られたユダヤ人家族が住んでいたというのだ。
さらに、その一家の長女で10歳の少女サラ(メリュジーヌ・マヤンス)が収容所から逃亡したことを知る。
一斉検挙の朝、サラは弟を納戸に隠して鍵をかけた。すぐに戻れると信じて……。
果たして、サラは弟を助けることができたのか?2人は今も生きているのか?事件を紐解き、サラの足跡を辿る中、次々と明かされてゆく秘密。
そこに隠された事実がジュリアを揺さぶり、人生さえも変えていく。
すべてが明かされた時、サラの痛切な悲しみを全身で受け止めた彼女が見出した一筋の光とは……?


この後ネタバレ内容なので、まだ観ていない方は自己判断で読まれる事をお薦めします。

予告編とあらすじからも想像は出来るかと思いますが・・・・
この作品は基本、全編の殆どが悲劇に彩られています。
観ている側ですらも痛さを感じる程の、とてつもない悲劇。
ユダヤ人の姉弟、サラとミシェルは、とても仲の良い姉弟。
一斉検挙の朝も、ベッドの中で無邪気にジャレあっている姿がとても愛らしく描かれています。
その姉の愛ゆえに、ただ助けたい一心で納戸の中に弟を隠し、鍵をかけるのですが・・・
命からがら収容所から逃げ出したサラが、納戸の鍵を握り締め、やっとの思いで家に駆けつけた時には、全てが遅かった。
納戸に閉じ込めた弟は変わり果てた姿で発見されます・・・[もうやだ~(悲しい顔)]
これがサラを長い間苦しめ続け、彼女の心を蝕む闇となって行きます。

サラが逃げ出してきた収容所は、フランスの警察が用意した施設で、ユダヤ人たちはここでナチの何処の収容所に送られるかを選別されているようでした。
その中には勿論、あの悪名高き負の遺産、アウシュビッツも有ります。
「ポーランドに送られたら生きては戻れないらしい・・・」と作品中のセリフがあるのですが、もうアウシュビッツのことを指しているのは明白で、ゾッとします。
ユダヤ人の母と子を引き離すシーンはもう、どうにもこうにも・・・筆舌しがたいものがありました。
これはナチがやったことではなく、フランス警察がやったことなんですね。
この後フランスはナチス・ドイツと戦争状態に突入しますが、それ以前はナチに手を貸すような事もしていたんです。
これには衝撃を受けました。
(日本はドイツと同盟まで組んでましたが・・・)
当時のフランス人にもナチ寄りの考え方の人と、人道的な考えを持った人とが混在していたようで、その辺の描写も上手だったと思います。
ユダヤ人の子供らに、収容所の外から金網越しにリンゴを配る女性たちのシーンが有り、とても印象に残っています。
彼女たちはフランス人の女性なのですが、ユダヤ人とかフランス人とかではなく、人間の子供が迫害されている姿に心を痛め、リンゴを差し入れているのです。
これは当然のように見えて、当時はとても勇気のいる行為だったのではないでしょうか。

そして心優しいフランス人警察官に見逃してもらい、幸運にも収容所から逃げ出すことが出来たサラ。
近隣の農家に逃げ込みます。

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画像は農家の心優しき主人。子供は既に独立していて夫人と二人暮らし。
ここの老夫婦も良かったです。
自分たちの危険も顧みずサラをかくまい、事情をわかった上でサラと共にパリへと向かいます。
サラの手には弟を隠した納戸の鍵・・・・
そして悲劇が待ち受けます。
サラ役のメリュジーヌちゃんの演技が、とにかく上手かった。
それだけに痛々しい悲劇の描写に胸がつまります[もうやだ~(悲しい顔)]

サラの人生を追っていく女性記者のジュリアも良かった。
サラとの出会いで、ジュリアの取った選択には涙。ただ涙です。

ラストに辿り着くまで悲劇の連続ですが、決して後味が悪いだけのラストでは有りません。
サラの息子ウィリアムとジュリアが語り合うシーンが素晴らしい。

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決して忘れてはいけないこの悲劇。
その先には、この悲劇を繰り返してはいけないという切実な思いと、次世代へ託す希望が感じられました。
虐殺された何万ものユダヤ人。その一人一人に人生が有って、本来ならば誰にもその人生を奪う権利なんて無かった。
だからこそこの悲劇を後世に語り継ぎ、虐殺された一人一人の人生に光を当てていく行為に意味がある。
そして、みんなサラと同じ。
誰もがサラになりうるし、ナチにだってなりうる。
それを忘れてはいけないのだと思いました。

・・・・・・・・・・・・

敢えてクリスマスイブにこの作品を取り上げました。
実は私、キリスト教系の学校に通ってたんですよ。
(クリスチャンではないですが)
毎週礼拝があって、聖歌隊活動もしたりしてね。
聖書の授業も必修科目でした。
なので多少のキリスト教の知識は有るのです。

なので、ユダヤ人について色々と云うキリスト教徒も居ますが、イエスがユダヤ人を虐殺しろ、私の敵(かたき)を討てなんて思う筈がないです。
赦しの宗教の教祖が?そんな訳がないですよね。
十字軍遠征だって冷静に考えたら、出来る筈がないと思うんですけどね。
というか・・・そんなものを喜ぶイエスだったらガッカリです[がく~(落胆した顔)]

異教徒を駆逐せよ!なんて、そんなことを奨励する神なんて私は信仰したくないなあ・・・。
どの宗教にも学ぶべき部分はありますけどね。

そんなことを世界一有名な、聖なる人の誕生日イブに思いました[猫]









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motosoft

この映画で設定されている時代を生きた人たちは、理屈抜きで、必至で生きたんでしょうね。
以前、似たような背景の映画を見たことがあって、頭の中でダブりました。
by motosoft (2012-12-24 22:57) 

hypo

☆Merry Christmas☆(^^♪
by hypo (2012-12-25 05:33) 

アリス

motosoftさん♪
生活するのに苦労するならまだしも、生存する
ことすらままならないような環境に自分が置か
れたらと思うと、本当に怖いです。
この手の映画は2度観るのは精神的に辛い
ので、1度観てしっかりと心に焼き付けました。
戦争なんて、本当に良いことなんて一つもないと
思います。
by アリス (2012-12-26 00:38) 

アリス

hypoさん♪
.。.:*・゚Merry-X'mas:*・゚。:.*(^-^)
by アリス (2012-12-26 00:40) 

tanupo

タヌキだって人間だって、みんな仲良くすればいいじゃない!と思うんですけどね~。(´д`;)
by tanupo (2012-12-27 14:31) 

アリス

tanupoさん♪
ですよね!タヌキだって、人間だって、カエル型の
カールだって、みんなみんな生きているんだ友達
なんだ(*´▽`*)♥
by アリス (2012-12-27 23:52) 

まさみ

>これはナチがやったことではなく、フランス警察がやった>ことなんですね。
>この後フランスはナチス・ドイツと戦争状態に突入します>が、それ以前はナチに手を貸すような事もしていた

 えっと…世界史的にはミスリーディングな記述かも。話は、1942年だから、ヴィシー政権のころですね。警察が勝手に協力したわけではなく、これもまさに政府(その背後のナチ)がやったことなんですよ。パリ陥落が1940年でしたね。
 その後、北アフリカのアルジェにあったシャルル・ドゴール率いるフランス共和国臨時政府が連合軍に加担しますが、こちらの方がレジスタンス運動なんであって、フランス(ヴィシー政権)がドイツと戦争をしたわけではありません。
by まさみ (2015-09-24 13:43) 

アリス

まさみさん♪
コメ確認遅れました~。
私のミスリードではなく、少々まさみさんが重箱の隅をつつく系かと。
フランス警察は何処の国の機関でしょうか。
言われなくても分かりますね?
裏にナチが居たことは誰でも知ってますしね。
まさみさんはもう少し読解力を養われることをオススメします(^ω^)☆
戦争状態に関しては・・・あ~私の書き方が悪かったですね~・・・
これが皆辟易するという例のやつか。めんどくさ~・・・(´・ω・`)
by アリス (2015-10-25 23:40) 

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